2015年5月28日木曜日

オペラ杉原千畝物語・人道の桜 世界初演の旅 -6 -

久しぶりのフルートレッスン。

初見のテストは、
譜読みはできた。
問題は吹き出すと拍を見失うことだ。
また、やってもうた。。。
大人はみんなそうなのだそうです。

二拍目は軽く吹くこと。軽く吹いているところと長めに吹いているところがあるといかにもシロートっぽいそうだ。

指の悩み相談。
難曲はそも無理としても、少々難しい曲の何が難しいって、まず「指」がまわらないこと。特に古典より新しい時代のフレーズは単純なスケールでないことが多い。

音をよく聴いて覚えること。音を覚えていれば自分の運指がまちがったら自分ですぐに気がつくはず。高音域の音色が濁ったら自分の耳で気がつき、運指の誤りがないかチェックすること。すなわち音を覚えよ、そして自分の耳で聴きなさいってことです。




杉原オペラの旅は、ワルシャワからフィンランドのヘルシンキへ。


 で、いよいよ高速鉄道に乗ってロシア、サンクトペテルブルクへ。
世界の車窓みたいではないか。

2015年5月27日水曜日

オペラ杉原千畝物語・人道の桜 世界初演の旅 -5 -

リトアニアからワルシャワへ。

ショパンの生家の庭でストリートパーフォマンスしてから鯖ランチ。

日本を出国する前に鯖にあたったA氏もペロリとたいらげた。


ワルシャワ・ゲットーについて解説するアンジェイ氏。
当時彼は子供で幸い難を逃れたが、家族はみんな殺されたそうです。。。

今でもドイツやドイツ人が嫌いかと聴いてみた。
ドイツ人観光客にガイドした際に、ここでドイツに大勢殺されました。と解説したら、ドイツ人の老婆から「殺したのはドイツではない。ナチスドイツだ。」と言われたことがあるそうです。
もう昔のことなので、ドイツを恨んでいないとは言っていましたが、それ以来ドイツ人のガイドはしないとのこと。
natioとは何か、人間とは何か、考えさせられるなあ。。。

2015年5月23日土曜日

オペラ杉原千畝物語・人道の桜 世界初演の旅 -4-

本番の興奮も冷めやらぬまま、翌日はリトアニアの旧首都カウナスへ。


いわゆる押しボタン信号 
杉原のモニュメント
人道の桜はすでにほとんど散っていた
カウナス市街
カウナス工科大学大学院の先生達によるコーラスと友好合唱。
う、うまい。なんてうまいんだ。
まったく畝らない声、そして幅広い音域が見事に調和している。

こんな合唱を目指したいなあ。ってつぶやいたら、オペラ歌手のO氏から「無理です、日本人で彼らのようなコーラスを目指すのは至難の技です。」と言われてしまった。

はい、あきらめました。
でも少しくらい近づきたいよね。

2015年5月22日金曜日

オペラ杉原千畝物語・人道の桜 世界初演の旅 -3-

2015年5月12日 本番当日

旅の疲れがあるにもかかわらず、緊張のため眠りは浅く、自分の出番の歌が何度も聴こえてきてぐっすり眠れなかった。

朝から自分の役柄になりきったつもりでいよう。
つまり東京帝国大学を卒業し、当時最年少で外務次官に上り詰める超エリートな自分を想像してその役柄になりきる。

これが厳しいんだよね。

全く自分にないキャラだからね。

主役と作曲家は朝からリトアニア国営放送の生取材のため5時に起床して出かけた。
その模様をiPhoneでビデオ撮影していると、突然部屋の電話が鳴った。

「起きたー?朝飯行こうよ!」

共演者のAさんではないか。
せっかく録画しているのにぃ。
それに普通テレビ見るだろ!大事な放送なんだから!!
リトアニア国営放送
防衛庁隣のホテルから劇場まで徒歩5分。

ドキドキワクワクドキドキしながら楽屋に入り、フェースケーキと眉墨で化粧。
フェースケーキを塗ると照明に映えるんだそうです。
ふだんすることのない化粧をすると女性の気持ちがわかる気がする。
そも社会で生きるとはペルソナを演じるわけで、女性は常に自分のペルソナを意識することが化粧によって深まるのではないだろうか。

だが、新しい自分を発見することはなかった。

ゲネプロを終えて本番へ。
もう無我夢中。

演ずることを考えている時間はない。
ありったけの自分を演ずるしかないのだ。
ドキドキしている時ではない。

自分は完璧なんだ。超エリートの上司として部下の千畝と絡むのだ。
見ているがいい、舞台は俺のものなのだ。
そしてリトアニアの聴衆の心を鷲掴みにするのだ。

と、無理に自分に言い聞かせる。

幕が開き、幸子夫人が千畝を紹介し、学生の頃の千畝と下宿のおばさんのやりとりが終わると一旦照明が落ちる(これを暗転と言うそうです)。
暗い舞台を下手からサスの1m先のポジションへ歩く。
舞台に貼ってある蓄光のバミリステッカーが目印。

暗くてほとんど観客の顔が見えない。
これはいい。
なんだこのヘッポコはとこちらを凝視する人がいたとしても見えないんだからね。
でも、見えないだけでそこには確かに1,000人の生きた観客がいるのだ。

そこへ照明が当たると同時に私のセリフで始まる。
始まったら止まるわけにはいかない。
照明が強くてこれまた観客の顔がよく見えない。
もう自分が自分じゃないみたい。
何かが私に乗り移って勝手に動いてくれ!

観客の顔が見えないのは、観客に飲まれないので初の舞台には好都合だが、観客を飲み込もうとする意欲があった場合にはよくないかもしれない。
なんてことを考える余裕は後から生じるのですが。

稽古でも常にテンションを高くすることを心がけていて、決してさぼってはいなかった。
けれども、本番の舞台ではさらに高いテンションとエネルギーが生じるものなのだ。

人生初の舞台はいきなり主役とのデュオという大変に重い役割だった。

まずは夢中でやり通した。

うまくいったかどうかは自分ではわからない。

評価は後世の歴史家にまかせよう(?)。

上手ソデにハケると多くの共演者が笑顔のハイタッチで迎えてくれた。

うまくいったのかな?

「よくやった!」とみんなの笑顔が言っている。

うまくいったんだよね、きっと。

思わず演出助手とハグハグ。

大事なシーンをやり遂げた達成感に浸る暇もあまりなく、次はユダヤ人医学生として群衆に混ざって合唱するために着替えて下手へ。

ハイテンションをキープしたまま、2時間が過ぎ、

そしてついにフィナーレの人道の桜。
桜の花びらがいい感じで舞う中をみんなの心をひとつにして熱唱。
スタンディングオーベーションで拍手が鳴りやまない。
多くのリトアニアの観客が泣いていたそうです。
やったね。
国が違っても人はみな同じだよね。
出し切りました。
何か身体中のエネルギーを不純物と一緒にデトックスしたような開放感です。
疲れましたがいやな疲れではありません。
達成感と錯覚かもしれませんが、自信に満ち溢れシャワーを浴びて、着替えて打ち上げに行きましたら、なんと主役の面々は着替えもせずに、打ち上げ会場でまた歌を披露するではないですか。
いやー、プロは大変と言いますか、パワーあるなあ。
それでもって、帰りの飛行機では次の舞台の譜読みしてるんですよ。

あー、つくづくシロートでよかったと思うひととき。

2015年5月21日木曜日

オペラ杉原千畝物語・人道の桜 世界初演の旅 -2-

5月10日の深夜、頭の中の混乱をそのままに、コペンハーゲンからリトアニアのビリニュスへ。
ホテルに着いたのは午前2時くらいだろうか。

眠い、、、。
なんせ寝ていても、自分の歌が常に聴こえてくるのだ。

とても綺麗な街並み 
特産品の琥珀
我々が観光中に舞台監督と演出助手はお仕事、、汗
通訳は関西大学に留学経験のあるオーガステさん
リトアニアはGDP約8兆円、人口320万人。
日本で暮らす我々になじみは少なく、リトアニアに行ってくると言うと、たいてい「それ、どこだっけ?」とか「クロアチア」に行くんだよね、などと言われることが少なくない。
公園にはホームレスの姿もなくはないが、小さな家が立ち並ぶ(それでも日本の平均的住宅よりだいぶ広いけど)街並みは人々がとても豊かで幸せそうな印象だ。
有名なピンク色のスープにはありつけなかったが、食事はとても美味しい。

午後からオケリハ、夜は場当たり。
場当たりならいつもの得意技だからまかせとけ、ってそうではありません。
舞台の進行を確認すべく、イリと立ち位置を確認してハケるんですね。

ヘソだとかサスだとか、バミルだとかの業界用語にも慣れてきて、いっぱしの俳優気分ルンルン♪

あ、そこサス先1mバミって!

かっこいいではないか。

劇場入口の告知
リトアニア国立ドラマ劇場入口のオブジェ
町中に告知ポスターがあふれているって聞いていたんだけど、見つけることはできません。すでに撤去されたのかな?

さあ、明日はいよいよゲネプロ、本番。

くーーー、緊張するなあ。
ビールはコップ一杯だけにしました。

2015年5月20日水曜日

オペラ杉原千畝物語・人道の桜 世界初演の旅 -1-

4月からフルートの練習量は激減し、とうとう2週間ほど全く吹かない毎日でした。

ひょんなことからオペラの世界初演に参加する機会に恵まれ、昨年9月から稽古に勤しんでおりました。

音楽に無縁だった私が無謀にもオペラの舞台に載ったわけです。

2015年5月10日SASで成田を出発、コペンハーゲンへ。

ここで大変な優れものを新発見。

飛行機での長旅は疲れるもの。

「快適な空の旅をお楽しみください。

はあ?快適?? うそだろ!

が、しかし、だからと言って、「不快な旅ですが、しばし我慢願います。」と言われたらたまりませんね。
何事も前向きに捉えないとね。
外国へ行くワクワク感を堪能しないとね。

何が辛いって空気が乾くので口の中、鼻の中、喉がカラカラで呼吸自体に違和感がする。
そして風邪のウイルスが大活躍。

飛行機の長旅に欠かせないアイテム「濡れマスク」。
これはよい!

しばらく付けずに過ごしていましたが、カバンの中に濡れマスクがあることを思い出し、つけてみた。

あら不思議。呼吸がものすごく楽。
こんないいものがあるなんて、もっと早く気づいていればよかった。
おかげさまでゆっくり眠ることができました。わーい。


コペンハーゲンはとても綺麗な街。
だけれども物価がとても高い。
空港でサンドイッチと水だけで2,000円。。。とほほ。
500mlの水が400円もする。

でも考えてみたら成田の寿司弁当は3,000円もするではないか。
日本を訪れた外国人はびっくりするだろうなあ。
日本では入手困難と言われているホテルのシャンパントリュフ。
ハムレットの舞台 Kronborg Castle


ああ、とうとう来てしまった。
そして、いよいよ本番を迎えるんだなあ。
成功のイメージをしっかり頭に焼き付けるよう努力してるんだけど、努力しないと成功のイメージが作れないってことは、本音は自信がないってことなんだよね。
自信がないわけではないのだ。いやというほど稽古してきたのだし。
よし、これならいけるという気持ちなのだが、なにせ初めてのことだし、やっぱり不安だあ!いや、必ず成功する! 頭の中の混乱よ、静まれ!!

2015年5月9日土曜日

アーティキュレーションが変わると、、、

この頃はオペラの稽古が頻繁(はんざつではありません、ひんぱんです)にあるため、基礎練習をさぼっています。

それでも目に見えるほどの後退はないようだし(そも前進もあまりないわけですが)、ゴダールのフレーズを楽譜を見ないで、音を探しながら吹いてみることが楽しい。

私の楽譜(flutetunesからDLした無料のやつ)は、十六分音符の羅列が全てスラーなのですが、先生の楽譜は変拍子風のアーティキュレーションになっている。
3拍目をスラー、続いて1,2拍目をスラー、さらに3拍目をスラー。

アーティキュレーションを変更すると途端に間違える。。。

そういうものなのでしょうね。

タンギングする場所を変更するだけです。
わかっている簡単なことができないもどかしさ。
こんなこともできない自分が辛い。

初見のテストはかなり難しいので、先生とユニゾン。

音程が不安定でずれているとの指摘。

それでも始めの頃に比べればずいぶんと合うようになったのでこれでいいのだ、と思うことにしよう。

GWは毎日オペラの稽古。

不覚にも体調を崩してしまい、抜いた発声で稽古に参加した。

発声を抜くことで力みが消えて案外歌いやすいことを発見。

フルートと同様で、力みを取るにはムキにならずに抜いて(頭部管ではない)吹いてみることもいいかもしれない。

プロに混ざって稽古してきたオペラは、段取りに感情を嵌め込むことができて完璧な仕上がり。

成功間違いなし。

明日からオペラの舞台に移動するので、しばらくの間フルートはお休み。

ニッポンの美味しいピッツァの食べおさめ。