プロは予備として必ずフルートを二本以上持つ必要があるそうです。
私はヘッポコシロートですが、贅沢な事にフルートを二本所有しています。
一本は1975年に買った、ムラマツM70というリップのみ銀、その他洋銀という名の銀を含有しない質量の軽い金属製です。
M70の型番は当時の希望小売価格70,000円を表しているように思えます。
アルバイトで貯めたお金を持って、近所のフルート吹きのお姉さんと一緒に新宿の十字屋で買ったように記憶しています。
2011年、大地震が来る一月程前、30年以上押し入れに放置されていた楽器を取り出して吹いてみると、意外にもちゃんと鳴ることに驚きました。
意外と言うのは、二つの意味があります。
放置された楽器がきちんと動くことと、自分のアンブシャがまた最初から作り直さなくても、当時の身体的記憶をキープしていたことです。
これまでに無理矢理覚えた英単語や、歴史的事件などの宣言的記憶(Declarative memory)は年ごとに忘却の一途を辿りますが、手続き記憶(Procedural memory)としての身体的技能の記憶が30年を経てもしっかり身に付いていることは本当に驚きです。
その愛着ある最初のフルートには、その型番から「菜々子」と命名しています。
ですが、2011年に入手した総銀のADには名前がありませんでした。
なにかふさわしい名前が浮かばなかっただけのことですが。
ふと、思いついたのですが、2012年に初めてホールでソロデビューしたのは総銀のADを用いて「歌の翼による幻想曲」を吹いたのでした。
「歌の翼」には独特のイメージがありました。
悲しすぎる物語を勝手に作り替えて、エウリーディーチェを取り戻すことに成功したオルフェウスが雲の上で羽の生えた天使のようにエウリーディーチェとささやきあう様子です。
それでも本来のオルフェウスの心情を想うと、嗚咽してまともに吹けません。
涌き上がる感情のフタを調節しながら吹いたものです。
舞台デビューの記念すべきADを「ツバサ君」と命名することにします。
「菜々子」と「ツバサ」
どちらも思い出深い楽器です。
そして二本ともリペアのマイスターにオーバーホールしてもらいましたので絶好調です。
生涯手放すことはないでしょう。
私はヘッポコシロートですが、贅沢な事にフルートを二本所有しています。
一本は1975年に買った、ムラマツM70というリップのみ銀、その他洋銀という名の銀を含有しない質量の軽い金属製です。
M70の型番は当時の希望小売価格70,000円を表しているように思えます。
アルバイトで貯めたお金を持って、近所のフルート吹きのお姉さんと一緒に新宿の十字屋で買ったように記憶しています。
2011年、大地震が来る一月程前、30年以上押し入れに放置されていた楽器を取り出して吹いてみると、意外にもちゃんと鳴ることに驚きました。
意外と言うのは、二つの意味があります。
放置された楽器がきちんと動くことと、自分のアンブシャがまた最初から作り直さなくても、当時の身体的記憶をキープしていたことです。
これまでに無理矢理覚えた英単語や、歴史的事件などの宣言的記憶(Declarative memory)は年ごとに忘却の一途を辿りますが、手続き記憶(Procedural memory)としての身体的技能の記憶が30年を経てもしっかり身に付いていることは本当に驚きです。
その愛着ある最初のフルートには、その型番から「菜々子」と命名しています。
ですが、2011年に入手した総銀のADには名前がありませんでした。
なにかふさわしい名前が浮かばなかっただけのことですが。
ふと、思いついたのですが、2012年に初めてホールでソロデビューしたのは総銀のADを用いて「歌の翼による幻想曲」を吹いたのでした。
「歌の翼」には独特のイメージがありました。
悲しすぎる物語を勝手に作り替えて、エウリーディーチェを取り戻すことに成功したオルフェウスが雲の上で羽の生えた天使のようにエウリーディーチェとささやきあう様子です。
それでも本来のオルフェウスの心情を想うと、嗚咽してまともに吹けません。
涌き上がる感情のフタを調節しながら吹いたものです。
舞台デビューの記念すべきADを「ツバサ君」と命名することにします。
「菜々子」と「ツバサ」
どちらも思い出深い楽器です。
そして二本ともリペアのマイスターにオーバーホールしてもらいましたので絶好調です。
生涯手放すことはないでしょう。
あれれ!たかが928万円のフルートには名前がないのですか。
返信削除extajijiさん
返信削除こんにちは、
あああ、写真のムラマツ24kはムラマツからお借りしたものです。
高価で分不相応な楽器でして、自分で所有することは今後もないと思います。
30年以上前の菜々子があれば十分で、ツバサは贅沢だと思っています。
新しい楽器にはあまり興味がありません。
なにせ自分が奏でる音楽がお粗末この上ないのに楽器云々どころではないからです。